
「ほくりくスタートアップコミュニティファンド」石川県立大学発のバイオものづくり企業ファーメランタに投資実行
株式会社北國フィナンシャルホールディングスの子会社である株式会社QRインベストメント(代表取締役社長:浜野 文雄)とHED有限責任事業組合(代表パートナー:髙田 諭)は、共同で設立した、ほくりくスタートアップコミュニティ投資事業有限責任組合(以下、当ファンド)より、このたび、ファーメランタ株式会社(本社:石川県野々市市、代表取締役:柊崎 庄吾「以下、ファーメランタ」)に投資を実行したことをお知らせいたします。
ファーメランタ株式会社について
ファーメランタは、植物など天然由来の有効成分を微生物で発酵生産し、次世代のサプライチェーンを構築することで、人類および地球の健康増進に貢献することを目指す、石川県立大学発のベンチャー企業です。
近年、持続可能な化学産業への転換を図るため、バイオテクノロジーを活用した「バイオものづくり産業」の育成が加速しています。バイオものづくりとは、微生物や生物細胞を「ものづくりの工場」として活用し、医薬品や化粧品原料、バイオ燃料、プラスチック原料などを生産する技術です。バイオマス由来の再生可能資源を利用することで、環境負荷を抑えながら物質生産を実現できます。
このバイオものづくりをさらに推進する技術として、「合成生物学」が注目されています。合成生物学は、生物の仕組みをモジュール化して再設計し、目的に応じた新たな機能を創出する「設計」と「構築」に基づく工学的アプローチです。従来の応用微生物学や遺伝子工学が自然に存在する機能の「発見と改変」に重点を置いているのに対し、合成生物学は自然界には存在しない機能をも創り出す「生物システムのプログラミング」を目指す革新的な分野です。
合成生物学は、バイオものづくりにおいてより柔軟かつ迅速な開発を可能にし、これまで困難だった高機能物質の生産や汎用化学物質のスケールアップを実現することで、新たな産業の中核技術として期待が高まっています。一方で、商業的な成功事例や産業応用可能な技術レベルの成熟は、国内外でまだ限定的です。ファーメランタは、生命システムの理解と制御を志向する基礎研究に基づくアプローチで、根本的に経済合理性のある形で産業応用可能な技術基盤の開発に取り組んでいます。
ファーメランタが長期的に目指す技術開発は、最新の合成生物学的手法により、分野や構造を問わず低分子から高分子まで多様な化合物を安価に生産できる究極の「合成生物」の実現です。これは、従来の化学合成法や植物抽出法に依存する物質生産手法に代わる産業構造のパラダイムシフトをもたらし、持続可能な新産業の創出を目指すものです。
出資の背景について
ファーメランタは、本分野において卓越した研究成果をあげてきた石川県立大学生物資源工学研究所の南博道教授及び中川明准教授(2025年3月石川県立大学を退職)と、投資銀行でキャリアを積まれた柊崎氏による経営チームにより、2022年10月に設立されました。以降、急速なスピードで研究開発並びに事業開発体制を拡大してきています。
2026年5月に竣工予定のパイロットプラントは、物質生産菌細胞株の開発からスケールアップまでを実現する、世界初の植物由来機能性素材の開発拠点として位置付けられており、次世代の石川県経済を牽引する新たな産業創出が期待できます。当ファンドとしても、地域関係者と一体となり、ファーメランタの挑戦を支援してまいります。
出資先の会社概要
会社名 | ファーメランタ株式会社 |
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代表者 | 代表取締役 柊崎 庄吾 |
本店所在地 | 石川県野々市市末松3丁目570番地 いしかわ大学連携インキュベータ |
事業内容 | 合成生物学による植物由来希少成分の製造販売、並びに物質生産菌株の構築サービス |
ホームページ | https://fermelanta.com/ |
本ファンドの概要
名称 | ほくりくスタートアップコミュニティ投資事業有限責任組合 (略称:ほくりくスタートアップコミュニティファンド) |
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組成 | 2024年4月8日 |
出資者 | 無限責任組合員(GP):株式会社QRインベストメント HED有限責任事業組合 有限責任組合員(LP):株式会社北國銀行 株式会社北國新聞社 今村証券株式会社 米沢電気工事株式会社 ほか個人 |
存続期間 | 10年(但し、合意により2年延長可) |
投資対象 |
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